ファーブル・ルーバ エベレスト登頂に実際使われた時計「レイダー・ビバーク9000」が、世界的オークションに出品
機械式腕時計としては世界初、そして世界唯一の高度9000m測定を可能にしたファーブル・ルーバ「レイダー・ビバーク9000」。その実用性は2018年、ブランドアンバサダーである英国人山岳ガイド、エイドリアン・バリンジャーのエベレスト登頂により証明されました。バリンジャーは、通常平均65日かかるエベレスト登頂を、なんと9日間で成し遂げました。そしてアメリカの自宅を出て、帰ってくるまでの23日間でチョ・オユー(世界第6位)とエベレスト(世界最高峰)という8000m級の山を連続で制覇し、ヨーロッパを中心に話題となりました。そんな偉業を成し遂げたバリンジャーが着用していた「レイダー・ビバーク9000」が世界的オークション「アンティコルム」に出品されます。これは、エベレストの高度を計測できる世界で唯一の機械式時計が、エベレストで実用性を証明し、出品されることを意味します。エベレストと、常に向かい合ってきたスイス時計ブランドならではの歴史と物語をお楽しみください。
なおオークションの収益はすべて、エベレストを含むネパールのシェルパにレスキューや安全性について教育を行う機関である「KCC(クンブ・クライミング・センター)」に寄付されます。
【オークション概要】
アンティコルム “Important Modern & Vintage Timepieces”
開催日時: 2019年5月12日
開催会場:スイス・ジュネーブ
プレビュー: 香港(4月29日、30日)、台湾(5月2日、3日)、ジュネーブ(5月10日、11日)
オンラインカタログは2019年4月29日(月)以降閲覧可能 (今回出品される時計のロット番号: STWWa)
1975年5月16日、女性として世界初のエベレスト登頂を成功した故・田部井淳子氏。田部井氏のエベレスト登頂を支えたのは、スイス高級時計ブランド「ファーブル・ルーバ」から1962年に発表された世界初の高度計搭載の腕時計「ビバーク」でした。「ビバーク」は当時、ヨーロッパの多くの登山家の偉業を支えていた腕時計でした。
2017年、機械式腕時計として世界で初めて高度9000mの測定を可能とした「レイダー・ビバーク9000」が発売されました。初代ビバークのエベレストの伝説を継承した「レイダー・ビバーク9000」は、発売翌年の2018年にブランドアンバサダーの英国人山岳ガイドのエイドリアン・バリンジャーによるエベレスト登頂をサポートしました。後に彼は「レイダー・ビバーク9000」について次のように述べています。
「高度8800m。私のレイダー・ビバーク9000はエベレストの頂上までしっかり機能しました。」
中央の赤い針が双方向回転ベゼルの目盛りを指して高度を示します。目盛りの単位は50m、最高3000mまで計測できます。中央の赤い針が時計回りに1周すると、3000m登ったことになります。登っている間は3時の位置にあるサブダイアルの小さな赤い針も回転し続けます。中央の針が3回転すると、計測限度の海抜9000mに達したことになります。
また、「レイダー・ビバーク9000」の高度計(アネロイド気圧計)の特性上、高度だけでなく、気圧の変化を読み取ることで、天候の変化をも予知することができます。気圧の大まかな変化は3時位置のサブダイアルから読み取ることができますが、より詳細を知りたい場合は、双方向回転ベゼルとセンター針を読み取ります。まず、現在の高度にセンター針を合わせます。もし、設定後、針が現在高度よりも高い高度を示し始めたとき、それは気圧が下がっていることを示し、天気が悪化することが予想されます。逆に針が低い高度を示し始めたとき、それは気圧が上がっていることを示し、天気が良くなることが予想されます。この情報は冒険を続けるか、シェルターに留まる判断をするのに大切な情報です。
バリンジャーはこれらの機能について、過酷を極めたチョ・オユーにおけるレポートの中で次のように表現しています。
「僅か数日間で、私たちは山の6400mと7200mの2地点でキャンプを設置することに成功し、ロープを固定する大仕事を始めました。時折強風や嵐が生じる中で、チョ・オユーの開けた勾配のどこにキャンプを設置すればいいかを確認するために、レイダー・ビバーク9000は必要不可欠な存在でした。ヒマラヤ山脈の登山は、高度が全てなのです。高度さえわかれば、自分の所在地がわかりますし、どれくらいの道のりを進んできたのかもわかります。ここでは、距離という考え方ではなく、高度のみで考えます。
キャンプが適切な場所に設置され、安定した気圧計(こちらも腕に着けたレイダー・ビバーク 9000に内蔵されている) のお陰で天候も予測できたため、私たちは一刻も無駄にせず、5月6日に山頂を目指しました。これは8000m峰ではかなり早いタイミングでした。3人の登山メンバーと2人のガイド、5人のシェルパで構成された私たちのチームは2つ目のキャンプを午後11:30に出発し、後に他の登山者たちも使用することになるロープを固定しながら登りました。申し分の無い静かな夜でした…高い高度において、ジェット気流が暴れる音が聞こえていたことをのぞいては。山頂は難しいコンディションであるのは覚悟していましたが、私たちは何が待ち構えているのかを窺いながら、とにかく登り続けました。
残り30mまでは理想的な登山でした。 チョ・オユーのまさに山頂だけがジェット気流にさらされていたのです。山頂の手前で私たちは一旦足を止め、自らを奮い立たせ、ダウンのジッパーを首まで上げ、山頂まで急ぎました。私たちはおよそ40分間風にさらされました。それだけですでに限度を超えていました。山頂では1枚の写真を撮るための数秒だけ過ごし、レイダー・ビバーク9000で高度を確かめました(本当に正確な高度を表示してくれました)後は、凍傷やそれ以上のことを恐れ、すぐさま下降を始めました。運が味方をしてくれ、特別な登頂となりました。」
FAVRE-LEUBA(ファーブル・ルーバ) エベレスト登頂に実際使われた時計「レイダー・ビバーク9000」が、世界的オークションに出品
エイドリアン・バリンジャーのレイダー・ビバーク9000(裏蓋にエベレスト登頂の特別刻印)
ケース径:48.0mm
ケース厚:18.7mm
ケース素材:チタン
防水性:3気圧/30m
ストラップ:アンテロープレザーストラップ、ピンバックル
ムーブメント:手巻き、Cal.FL311、65時間パワーリザーブ、毎時28,800振動、21石
仕様:時針、分針、スモールセコンド、中央の赤針は1回転につき高度3,000mを表示、サブダイアルは最高9,000mの高度および気圧(hPa)を表示、パワーリザーブインジケーター(デフ式スクリューシステム)、日付表示、アルミニウム製双方向回転ベゼル、両面に反射防止加工を施したサファイアクリスタルガラス、スクリューケースバック(裏蓋にはエベレストの高度と登頂日の特別刻印)、アプライドインデックス 、夜光塗料が塗布されたインデックスと時針・分針、高度表示用の赤針